遺産分割

遺産分割とは

遺産分割とは、被相続人(亡くなった方)が、亡くなった時点で持っていた財産(遺産)について、個々の遺産に対する権利者を定める手続きのことです。

相続人が一人である場合には、全ての遺産は相続人一人の単独所有になりますので、上記の遺産分割は生じません。しかし、相続人が複数人いる場合には、遺産を一時的に相続人全員で共有する関係に立つ(民法898条)ので、共有している遺産を各自に分配する手続きが必要です。この遺産分配についての話し合いを遺産分割協議と言います。そして、遺産分割協議において定まった事項をまとめた書面のことを遺産分割協議書と言います。

遺産分割の方法

遺言がある場合に、その中に遺産分割の方法について記載があれば、原則としてその遺言に従います。しかし、不確実な遺言だった場合には、相続人全員が協議をして、遺言(あるいは法定相続分)と異なる分割方法を定めることも可能です。遺産分割には、期限というものがなく、いつでも自由な分割請求が可能です。例外としては、亡くなった方(被相続人)が、適正な遺言において遺産分割方法(期限を含む)を指定もしくは、遺産分割そのものを禁止している場合が挙げられます。

しかし、遺産の滅失などが発生したり、相続人の死亡により、更なる相続が発生するなどした場合、「争続」に発展するケースも少なくありません。遺産分割は、相続税の控除摘要を受けるための要件にもなっていますので、可能な限り早い段階で手続きを行なうことをお勧めします。

想定される事例

早期の遺産分割をお勧めする理由として、想定できる相続問題をご紹介します。

【事案】

Aさんの父親が亡くなって相続が開始した事案で、当時の相続人は「母親(被相続人の配偶者)」「長男(Aさん)」「二男(Aさんの弟)」の3人であったところ、特に争いもなかったので5年以上もの間放置してしまっていた。

【結果】

父親の相続手続きが終わらないうちに二男が亡くなってしまったため、二男の相続人である「二男の妻」と「二男の子」が相続人となった(数次相続)。
その結果、相続人が「母親」「長男(Aさん)」「二男の妻」「二男の子」の4人に増えてしまった。

この場合、相続人の全員が日ごろから交流をしていれば、話を進めやすいのですが、一般的には、同じ親族であっても血縁が遠くなればなるほど疎遠になることが多くなり、結果として合意を得ることや、そもそもの話し合いをすることが難しいケースがあります。

また、相続人に未成年者が含まれる場合には、特別代理人の選任が必要になる場合も多く、更なる時間・費用が必要となってきます。

仮に、二男が父親より先に亡くなっていた場合の「代襲相続」と、本件の「数次相続」とは区別が必要です(代襲相続の場合には、「二男の子」のみが相続人となります)。

このような問題以外にも、遺産分割の遅延によって、リスクを負うケースは数多く想定できます。実際にご相談に来られる方の中にも「もう少し早く来ていただければ……」ということも少なくありません。弁護士法人アルファ総合法律事務所では、もめない相続をお手伝いするためにも相続・遺言に関する無料相談を行なっています。まずはお気軽にご相談ください。