遺言書の作成

そもそも遺言とは?

そもそも遺言とは?

遺言は「いごん」「ゆいごん」と読み、遺言者の最終意思の死後の実現を、法的に保障する制度です。そのため、どのような内容でも法的な効果が生ずるわけではなく、遺言をすることによって効力が発生する事項は、法律で定められています。以下、一例です。

  • 1結婚外でできた子を自己の子であると法的に認めること(認知)
  • 2未成年の子供の後見人や、その後見監督人を指定すること
  • 3自分の死後に遺産を誰かに与えること(遺贈)
  • 4誰にどれだけ相続させるかを決めること
  • 5相続人の資格を廃除すること。または廃除を取り消すこと
  • 6遺産分割の方法を決めること
  • 7遺言の内容に書かれている手続を実行する者を決めること
  • 8遺留分減殺の方法を指定すること

「家族仲良くしなさい」「借金をしないように」などの内容については、法的効力が発生しません。

遺言書の種類

遺言書には、以下、4つの種類があります。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、民法の想定している遺言の基本的なパターンであり、特別な手続きを要せず、比較的簡単に書くことができます。特徴としては、その全文を、遺言を残したいという本人が自ら書くという点が挙げられます。つまり、代筆やパソコン・ワープロでの打ち出しは認められていません。うまく書けないなどの事情で他人の手を借りて記載すると、他人の意思が介在する恐れがあると判断され、遺言自体が無効になる可能性がありますので、この場合は公正証書によって作成することをお勧めします。文字も判読不能にならないように、しっかりと記載しましょう。

次に、日付と署名押印をすることで基本的な遺言書は完成します。日付は特定できる記載であれば「平成◯年の誕生日」といった記載でも構いませんが、「平成◯年◯月吉日」という不特定な記載は認められずに無効となります。後日の紛争を避けるため、押印は実印を押しておくことをお勧めします。

また、自筆証書遺言の場合は必ずしも封をすることを要しません。しかし、封をする場合には表に「遺言書」と記載し、「遺言書の開封は家庭裁判所に提出して行わなければならない」と書いておくと、その後の処理がスムーズに進みます。

公正証書遺言

公正証書遺言は、公証役場にて、公証人の面前で、証人立会いのもとに遺言の内容を口述したものを筆記してもらう形をとるので、無効となる可能性が少なく、改変や紛失の心配も無用です。公証人への手数料など、費用の面では負担になりますが、後日の紛争を防ぐには最も安全で確実な方法です。

利害調整などの理由で、以下の人は証人になることができません。
(1)未成年者
(2)推定相続人、受遺者、またはその近親者(配偶者、直系血族に限る)
(3)公証人と一定の関係にある人(配偶者、4親等内の親族、書記、雇い人)

公証役場では、まず遺言をしようとする本人であることの確認を行ないます。遺言者は証人の立会いのもと、遺言にしようとする事柄の趣旨を公証人に対して口述するか、もしくは代理人(弁護士等)が代理して公証人に伝えます(口述が不自由な方は通訳や筆談によって伝えることも認められています)。

公証人は、口述された内容を筆記、もしくは、弁護士の作成した書面の内容を確認したうえで、遺言者と証人に対して読み聞かせ、正確に記述されていることを確認し、遺言者と証人は署名押印をします。最後に、この遺言がきちんとした方式に基づいているかを確認した公証人が、その旨を付記し署名押印して完成となります。公正証書遺言の原本は公証役場で20年間保存され、正本は遺言者に交付されることになります。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、書いたものに封をして公証役場へ持参して、それが本人のものであると証明してもらうという点で、自筆証書遺言と異なります。中身を知られたくない、書いた後の証明が心配だ、という方にお勧めの方法です。

秘密証書遺言は、必ずしも自筆によることを要しませんので、ワープロで作成することも可能です。ただし、署名は自筆しなければなりません。封をしたら遺言書に押印したものと同じ印で封印をします。できあがった封書は公証人1人と証人2人以上の前に提出をして、住所・氏名と確かに本人のものに違いない旨の宣誓をします。それに基づいて公証人が、遺言者・証人とともに封書に署名押印して完了となります。

そのほかの遺言について

どの手法を選ぶか、少しでもお悩みの場合には、弁護士法人アルファ総合法律事務所にご相談ください。
メリット・デメリット含めて、丁寧にご説明いたします。