相続人が行方不明の場合

不在者財産管理人について

不在者財産管理人について

遺産分割協議は、相続人全員で行なわなければならず、一部相続人のみでなされた遺産分割協議は無効です。したがって、相続人の中に行方不明者がいる場合であっても、その相続人を除外して遺産分割協議をすることはできません。そこで、家庭裁判所へ不在者財産管理人の選任を申し立てることで、行方不明の相続人に代わって不在者財産管理人が協議に参加し、遺産分割協議を進めることができるようになります。

“不在者”とは、従来の住所または居所を去り、容易に戻る見込みのない者をいいます。行方不明といっても、1週間や1ヶ月程度では不在者とは認定されず、おおむね1年以上は行方不明である必要があります。例えば、以下のような場合に不在者と認定されます。

  • 1連絡先を調べる方法がわからず連絡がとれない
  • 2生きている可能性が高いが、住民票上の住所地にはおらず、居所がつかめない
  • 3住民届けが出されていない状態が7年以上続き、生きているかどうかもわからない

上記のような場合に不在者と認定されるのであり、簡単には認められるものではありません。
あくまでも、不在者が生きていることを前提として進める手続きとなります。もし、7年以上にわたり行方不明である場合には、失踪宣告の手続きを選択する必要があります。

不在者財産管理人は、あくまでも不在者の財産を管理するための人であるため、遺産分割協議に参加したり、協議に同意するといった行為はできません。協議に同意をしたり、財産を処分したりする行為を行なうためには、別に「権限外行為許可」の手続きを行なう必要があります。遺産分割協議への参加や同意が必要であると予めわかっている場合には、権限外行為の許可申し立てを不在者財産管理人選任申し立てと同時に行うとスムーズです。ただし、不在者に不利な法定相続分以下の遺産分割協議となっているような場合には、家庭裁判所の許可を得ることができないため、注意が必要です。

不在者財産管理人を選任するには

利害関係人(不在者の配偶者、相続人にあたる人、債権者など)及び検察官が申立人となり、不在者の従来の住所地または居所地を管轄する家庭裁判所へ不在者財産管理人選任の申し立てを行い、家庭裁判所に選任してもらいます。申し立てる際、不在者財産管理人候補者を記入することもできますが、一般的に利害関係のない第三者(弁護士等)が選任されます。選任された不在者財産管理人は、不在者の財産を調査し、裁判所へ報告を行ないます。

弁護士法人アルファ総合法律事務所では、不在者財産管理人選任申し立ての対応を多数行なっております。不在者の戸籍等、必要資料も多いため、弁護士等へ依頼されることをお勧めします。